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FXでは優位性のあるエントリをしろとか、売りと買いのどちらに優位性があるのか、とかよく言われます。また、海外では優位性のことをedge(エッジ)とも呼びます。
優位性という言葉の意味するところは、確率的な話が大きいのです。
どちらかといえば、売り。
どちらかといえば、買い。
モヤッとした感じなんだけど、明らかにどちらかに偏った確率、そんな感じの売りと買いの優勢の判断が優位性ということです。
相場はランダムウォークをしているだけで、動きはランダムだという人もいます。もしランダムなのであれば、コイントスと同じで裏か表か全く予想がつかなくなることになります。
しかし、それでは相場から安定した利益を上げている人がいるという説明が付きません。
つまり、相場は長い時間で見ればランダムな動きを繰り替えてしているように見えてもある瞬間でみれば、売りと買いのどちらかにハッキリ優位性がある時があるはずで、実際あるのです。
優位性とは多くのサンプルを試行した時に買いと売りが発生する確率が50%ではなく、どちらかに少し偏っている状態(例えば買いが51%で売りが49%)だと思ってください。
優位性がある時、相場はランダムな動きをしませんから、その優位性を判断し、自分のトレードの味方にできたら、あなたのトレードの優位性となるわけです。
優位性(エッジ)はなぜ発生するのでしょうか?
優位性が無い状態というのは皆が好き勝手な方向にトレードしている状態です。優位性がある状態というのは、簡単に言えば、どれだけ多くの人が同じ方向にトレードする状況が期待できるかどうかです。
言い換えれば、相場参加者(プレイヤー)が複数いる状況で、自分と同じ方向にエントリしてくる味方がどれだけ期待できるか?というのが優位性(エッジ)といえます。
それは単純にどっちに動きそうだから、皆がエントリするというのもありますが、話はそんなに単純ではありません。
相場が急に転換した時には必ず、逆行ポジションを持って捕まっている人達がいます。その人たちはポジションをいつかのタイミングで解消するしかありません。しかし、捕まっている人達がいつそのポジションを解消するかはわかりませんが、逆行ポジションの損失が小さくなるほどポジションを解消しようとする動きは出やすくなりますから、更に逆行するエネルギーを注入することになります。
つまり、捕まってしまった人たちが多ければ多いほど、捕まってる人達はポジションを解消して逃げられなくなるのです。そういう状況が目の前にあったとしたら、捕まってる人達と逆のポジションを取れば、そのポジションは簡単に逆行しにくいのでは無いでしょうか。
いかに将来的に自分と同じ方向にエントリする人が見込めるか?これが優位性の種になるのです。
それは、ダウ理論で言う、押し戻りもそうです。皆が同じ考えを持っていれば同じ方向にエントリしますよね。そこに更にダマしで捕まった人がいてポジションを解消してくれれば更に強くなります。
小さい優位性の重なりが大きな優位性を生むのだろうか
テクニカル手法に関する優位性という意味では、一つ一つのテクニカルは50/50だと思います。それを組み合わせることで格段に優位性は高まると言われています。
例えば、エントリの時にSRやPivotといった先行指標と組み合わせることで、エントリの優位性を高めることができます。
これはよく言われる優位性の高め方ですし、SRやPivotでエントリしてくる人が多いので間違っていないのですが、ダマしで捕まった人がいない状況ではあまりあてにならないというのが私の考えです。
なぜかといえば、長期のターニングポイントとしてのSR/Pivotというのは機能しますが、長期では相場がすぐに転換しないからです。だからほとんど最初のタッチで方向を変えることはないのです。
当初、複数の指標を組み合わせることでより多くの相場参加者の総意が掴めると考えた時期もありましたが、単純にダマしで捕まった人がいないと相場の動きは読めないのです。
私が考える優位性というのはダマしで捕まった人がどれだけいるか?
そもそもなぜダマしが発生したのか?
が考えの起点となります。
なぜダマしが発生したのか考えてみる
これは結構大事なことです。
ダマしが発生するということは、ダウ理論的に言えばトレンドが継続しなかったということです。だからダマされたわけです。
ということは反転の起点がそこにあったわけです。
なぜだからわからないけど、そこにあった、もしくは、出来たのです。
この反転の起点というのは、新たな動きの起点となるフレッシュな起点ですから、新規の大きなプレイヤーがいるのです。強いのです。
さらにダマしで捕まった人達がいますから、更に強くなります。
損きりできなかった人はどこでポジション解消するか
ダマしで捕まっている人達というのは基本的にストップを置いていない人達です。ストップを置いてないなんて論外だという人もいますが、実は結構多いです。
なぜかというと、メンタルストップで50pipsとかおいて、手仕舞いは自分でするというやり方をしている人も上級者には多いからです。思惑とは反対にズドンと抜けたとしてもある程度の戻りはあるので、戻りのフェーズに入ったら目線を変えつつ積極的に損を少なく手仕舞いする人がウマい人なのです。
上手くない人たちは、転換しているのに転換したこと認めませんから、基本的に損切りできません。そういう人達が最終的に損切りするのは、一回目の戻りを見逃してそのまま損が大きくなりすぎて耐えられなくなった時か、証拠金的に余裕があって放置しておいてだいぶ後になって戻ってきたときにヤレヤレ決済となるかのいずれかです。
ですから、ダマしで一気に持ってかれた場合は逃げ遅れますから捕まっている人は多く、戻れば戻るほど、元の場所に戻ろうとすれば逆の力となって、逃げるタイミングが難しくなるというのが相場の動きです。
捕まっている人から見れば、相場は常に自分の思惑とは逆方向に動くように見える状況になり、全てがマズイ状況になるのです。オセロで言えば、かどを取られて一気に逆転負けみたいなものです。そんだけ不利な状況になっているということを利用しない手はないのです。為替はゲームですから、相手の不利に付け込まなければ勝てません。
どこで手仕舞いが始まるかはチャートの動きを見ながら判断する人が多いので、戻らないと思えばみな手仕舞いし始めますから、そこが戻りの天底になるわけです。それを見て戻り売り、押し目買いを仕掛けてくる人がいますし、押し目買い、戻り売りが成功するのであれば今度は新規で転換狙いでエントリした人が捕まった状態になりますので今度はその人たちが逃げますから、更に加速していきます。
まとめ
手法の優位性をテクニカルに求めようとする人が多いと思いますが、相場にいるのは人間です。人間には恐怖と欲望がありますから、損失を抱えたポジションを持った場合に取る行動というのはある程度、読めるわけです。ある程度読めるというのがとても重要で、そこに確率の偏りが発生するわけです。それが優位性の種です。ダマしというのは突然変異ですから、誰もがダマされるわけで、それは大きなヒントなのです。つまり、今後ポジションを解消することで発生するエネルギーがあることが公然と知れるわけで、どちらの方向にいつトレードしようかと考える場合にとても意味のある動きなのです。ダマしはトレードにおいて一番重要な要素だと私は考えています。なぜなら、人間の心理の動きがそこに現れ、オーダーフローの発生が期待できるプライスアクションだからです。それ以外のテクニカルなんてあまりあてにならないとさえ言えます。ダマしと他の手法を組み合わせることで更に優位性を増すことができるでしょう。